お金の制度を解説

国民年金、大学生時代に支払わず、追納もしないとどうなるか計算してみた

みなさんは大学生のころに国民年金は支払った記憶はありますか?

「親に払ってもらった」、「学生は年金払ってなかった」などいろいろなケースがあると思います。

今回は国民年金とは何か、そして、大学生時代に国民年金を払わなかった場合、いくらもらえるのか解説します。

目次

1.国民年金とは

2.いくらもらえるのか

3.モデルケース1(4年生大学卒業、22歳で入社)

4.モデルケース2(4年生大学卒業、24歳で入社)

5.まとめ

1.国民年金とは

国民年金とはなにか、日本年金機構から引用します。

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方はすべて国民年金に加入することになっています

URL:https://www.nenkin.go.jp/faq/kokunen/seido/kanyu/20140116.html

国民年金とは日本の公的年金の一つで、20歳以上60歳未満の日本国民全員が加入義務を負います。

20歳以上というのは、大学生も対象となっており、国民年金を納めなければなりません。

「国民年金なんて払った覚えないよ」という声が聞こえてきそうですが、それは「学生納付特例制度」を利用しているからです。

「学生納付特例制度」とは、学生期間は支払いを延期してくれる制度です。

「学生納付特例制度」の詳細はここでは省きますが、大学生には知っておくべき制度です。

学生納付特例制度により支払いを延期した場合、追納という形で支払いを埋め合わせすることができますが、しなくても問題はありません。

その代わり、65歳以降に受け取る年金の受給額が減少します。

では、具体的にいくら減るのか次の項目から解説します。

2.いくらもらえるのか

まずは20歳から60歳までに欠かさず払い続けた場合を計算します。

60歳から受け取ることが可能ですが、満額受給するには65歳まで待つ必要があります。

満額まで待った場合、2024年度は816,00円になりますので、これを基準に計算していきます。

3.モデルケース1(4年生大学卒業、22歳で入社)

まずは一番多くの人が当てはまりそうなケースで考えます。

高校、大学を卒業して22歳で入社後、65歳で国民年金を受け取る場合、いくら受け取れるのか計算します。(追納はしない)

年金は20歳になる誕生月から支払いが必要になりますので、最も大学生で支払い期間が長い4月生まれを想定します。

学生納付特例制度により、支払いを延期した期間は

20歳4月~22歳3月までですので、24カ月分になります。

すると、65歳以降に受給できる1年間の年金額は

816,000円(基準額)×458カ月(支払った期間)/480カ月(満額に必要納付期間)=775,200円

満額受給できる人よりも年間で

816,000-775,200円=40,800円少なく受給することになります。

また、日本人の平均寿命は約84歳(2021年)ですので、平均寿命まで生きた場合、

満額:816,000円×(84歳-65歳)=15,504,000

モデルケース1:775,200×(84歳-65歳)=14,728,800円

その差:15,504,000-14,728,800=775,200円

つまり、平均年齢まで生きた場合、受給額は775,200円少ない計算になります。

ちなみに、満額受給するために追納するには、現在の国民年金保険料は1カ月あたり16,980円(令和6年度)ですので、

16,980×24カ月=407,520円支払う(追納)必要があります。

4.モデルケース2(4年生大学卒業、24歳で入社)

次に多そうなケースとして、高校、大学、大学院を卒業して24歳で入社後、65歳で国民年金を受け取る場合、いくら受け取れるのか計算します。

学生納付特例制度により、支払いを延期した期間は

20歳4月~24歳3月までですので、48カ月分になります。

日本人の平均寿命は約84歳(2021年)とすると、

816,000円(基準額)×432カ月(支払った期間)/480カ月(満額に必要納付期間)=734,400円

満額受給できる人よりも年間で

816,000-734,400円=81,600円少なく受給することになります。

平均寿命まで生きた場合、

満額:816,000円×(84歳-65歳)=15,504,000

モデルケース1:734,400×(84歳-65歳)=13,953,600円

その差:15,504,00013,953,600=1,550,400円

つまり、平均年齢まで生きた場合、受給額は1,550,400円少ない計算になります。

ちなみに、満額受給するために追納するには、現在の国民年金保険料は1カ月あたり16,980円(令和6年度)ですので、

16,980×48カ月=815,040円支払う必要があります。

5.まとめ

国民年金について、大学生のころ支払わらずに、追納もしない場合、どれだけ受給額が異なるのかまとめました。

平均寿命まで生きたときを考えたとき、大学生時代に国民年金を支払わない場合(追納しない場合)は

22歳入社は-367,680円損

24歳入社は-735,360円損

することになります。少し厳密にすると、年金を追納した場合、所得控除がありますので、場合によっては少し損が緩和されます。

「じゃあ追納した方がいいじゃん」という声もあると思いますが、この追納に必要なお金を投資に回すとトータルで見るとお得になる場合があります。その内容についてはまた今度解説します。

人生の価値観につながりますが、20代で受け取る10万と80代で受け取る10万の価値は異なるものです。

当然20代で受け取る10万のほうが価値が大きいのは直感的に理解できると思います。

つまり、追納するよりも使った方がトータルで人生が豊かである可能性があるわけです。

今回はお金そのものに注目しましたが、人生の価値観を絡めると人によって損得が変わりそうですね。

以上になります。