Yahooニュースにて、以下の記事がでました。
「半導体、在庫過多」 回復遅れに懸念の声 商社では再編も進む
https://news.yahoo.co.jp/articles/85078d1d9f023ea5dc50b9ee5ec132d1baa1129e
半導体の在庫がたまっており、半導体商社の経営に影響を与えているようです。
一方、トヨタ車の納期が長いのは皆さんご存じだと思います。
なぜ、トヨタ車の納期が遅いのか考察します。
その理由は2つあると考えます。
1.人気があるから
2.半導体の増産が難しいから
人気ががあるから
2024年1~6月の国内における新車登録台数をまとめました。
国内の約半分がトヨタ車が売れているという結果になります。
つまり、トヨタは他のメーカーよりも人気が高く、需要が高いことを示しています。
車で使用する半導体の増産が難しいから
車には多くの半導体が使用されます。
例えば、エンジン制御やパワーウィンドウ、LEDのライト制御等、数えたら切りがありませんが、近年の車には安全性能向上のために多くのセンサーが取り付けられたり、EV、ハイブリッド車でモータの制御に必要なCPUが必要になりますので、半導体が必要になる点数が増加します。
データが少し古いですが、自動車用の半導体コストは上昇傾向にあります。
引用:https://www.semiconportal.com/archive/editorial/market/110603-automotive.html
出典:IC Insights
1台当たりにかかる半導体のコストを示しています。2008年は278ドルに対し、2014年は425ドルに増加しました。6年間で1.5倍も増えたという計算になります。この推移で行きますと、机上の計算になりますが、2024年は621ドルとなり、2008年比で2.23倍増加することになります。
近年の新車価格の高騰を考えると、納得できるのではないでしょうか。
今後、ハイテク機能を搭載される流れがある中、より半導体の需要が増します。
次に、こちらをご覧ください。こちらは、トヨタの販売車の電動車(EV, HV, PHEV)の5年間の推移です。5年前は20%であったのに対し、前年2023年は37%に増加しております。
出典:トヨタ決算報告
ここまででわかることは、最近の車は半導体を使用しており、さらに半導体を多く使用するEV, HVの需要が高まっていることが分かります。
一方、なぜ半導体を増産できないかといいますと、車に使用する半導体は同じ種類を使用する割合が少ない割に、多種の半導体を必要とします。
半導体を製造する側としては、なるべく同じ種類を多く生産した方が利益がでますから、車向け半導体を作るメリットが少ないです。
それなら自前で半導体を製造すればいいではないかという指摘があると思いますが、半導体を製造するには装置や工場、半導体を製造するエンジニアが必要になります。半導体を製造するには何十もの工程があり、その工程ごとに装置を準備しなければなりません(しかも1台あたり億単位の価格)。半導体エンジニアも需要が高まっているので、人材を集めるのも非常に大変でしょう。そういった背景から、自前で半導体を製造するには非常に多くの資金と時間を要します。
つまり、EVやハイブリッド自動車の需要は年々増えてる一方で、それを作る半導体を確保できないことが原因として挙げられます。
まとめ
半導体の在庫が余ってきてるニュースがありましたが、なぜトヨタ車の納期が短くならないのか考察しました。
トヨタ車は年々人気が高まっていますし、さらにその中でHVといった電動車の割合が増えてます。しかし、電動車を製造するには、数多くの半導体を必要とし、その車向けの半導体は簡単に増産できません。
よって、トヨタの納期が短くならない理由となります。
以上になります。ここまで読んでいただきありがとうございました。